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繭から救出

中央市豊富郷土資料館です。
初夏から育てている蚕が繭になりました。

繭になったら、中のさなぎの成長を止め、工作や体験活動の材料として保管しています。
ただ、さなぎになりきれずに死んだ蚕がいる繭は、品質が悪くなりやすい状態です。さなぎの処理が終わった繭を振って「カラカラ」と音がしない繭は、中がさなぎでない疑いがあります。
そこで、保存する前に汚れている繭・振って音がしない繭をより分けました。後者は一部を切ってみて、中を取り出せるようなら取り出して繭のみ保管します。

繭を蔟(まぶし、蚕が繭をつくる部屋)ごと天日干しにしている様子。
前回飼育時はこれで乾繭ができましたが、今年の夏はちょっと太陽パワーが足りなかった模様。
多少汚れていても、羽化した後でも、工夫すれば工作の材料になります。
こちらは2022年冬に作った干支のうさぎ。耳は繭を切り開いて作りました。

なお製糸所など大量に繭を扱うところでは下から光を当てて繭をより分けているようです。

そんな作業をしていたら、ある繭を切った時、中でうごめくお尻が…。その周辺には、明らかに蚕の卵がびっしり。
「もしや、生きている雌の成虫では!?」
雌を切らないように、慎重に繭を切り開きました。

こちらがその時救出した雌です。

繭の中にいたので、羽が広がらないまま固まっています。もともと蚕の成虫は飲まず食わずなので、繭の中でも命を保てたのでしょう。
なぜ繭から出られなかったのかは不明です。

繭の内側は薄紙を重ねたようになっています。その一番内側の層に、卵を産みつけていました。
未受精卵なので、ここから蚕がふ化することはありません。

ちなみにこの蚕は、後に雄と交尾をし、無事に卵を産みました。

養蚕は毎回興味深い出来事が起こります!


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