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繭毛羽でクラフト

中央市豊富郷土資料館です。
6月末からの蚕飼育もひと段落したので、今回は蚕が残してくれた「繭毛羽(まゆけば)」でクラフトをしてみました。

繭毛羽は、蚕が繭をつくるときに最初に吐く糸のことです。
建物でいえば足場の部分にあたります。この糸を足掛かりにして、体を支え、繭を作っていきます。

繭を作り始めた蚕。ここで見える糸が「繭毛羽」です。
繭は枠(まぶし)の中で中空に浮いた状態になります。
繭と枠とを結んでいる、無数の細い糸が「繭毛羽」です。

この糸は長さも短く、太さもまちまちなので、生糸にはなりません。そのため、養蚕農家では繭を出荷する時点で繭毛羽を取り除いてしまいます。

枠から外しただけの繭はこのような感じ。
外側が綿のような糸に包まれています。
外した繭毛羽と、きれいになった繭。
今年の繭毛羽。バレーボールより少し小さいくらいのガサになりました。

この繭毛羽は養蚕農家で様々に活用されてきました。
豊富地区では繭毛羽を糸につむいで紬のような「ファーストシルク」を開発しました。

糸をつくるのはなかなか大変なので、もっと手軽な活用方法はないかと探したところ、岡谷蚕糸博物館さんのWebページに「プレスシルクの小物入れ」というものがありました。

繭毛羽は水に濡らしてプレスするだけで形をつくれるそうです。

今年の繭毛羽は、小物入れにはちょっと量が足りなさそうなので、平らに押し固めて栞にすることにしました。

てのひらに乗るくらいの量を取ります
水で濡らしながら、てのひらの上で形を整えます。
両手で挟んで平らに押しつぶし、水気を切ります。

作り方は、繭毛羽を適量てのひらの上に乗せ、水で濡らしながら形を整え、最後に平らに絞るだけ。
絞ったら、ふきんに挟んで水気を切り、紙の上に置いて乾燥させます。夏にやったので、一昼夜でカラカラになりました。

乾燥したもの。模様のようなものはデコボコや桑葉のかけらなどです。
乾燥したものの周囲を切って形を整えました。

乾燥した繭毛羽は、洗濯のりをつけたようにぱりっと自立する丈夫な素材になりました。
触り心地は不織布に近いものの、絹独特のつるつる感もあります。表面にも若干光沢が残っており、不思議な素材です。
色をつけて造花の素材にしたり、大判のものを作りブックカバーやメッセージカードにしてもおしゃれかもしれません。

次回の養蚕でも繭毛羽で工作したいと思います!