真綿を作ってみた
中央市豊富郷土資料館です。
間もなく今年の養蚕が始まるので、去年の繭たちを真綿にしてみました。
今回使うのは、生糸にできない「くずまゆ」と呼ばれる繭たちです。
写真からも分かるように、真っ白ではなく黄色や茶色に汚れています。
これは羽化した蚕におしっこをかけられて汚れたり、繭をつくっている時やその後の脱皮で死んだために汚れてしまった繭です。
現在、布団や紬になる真綿は、きれいな繭から作られるものも多くあります。しかし、生糸になれない「くずまゆ」たちも真綿になれるというので、実際に試してみました。
真綿の取り方は、旧ブログを見ながら試してみます。
繭を
水につける→煮る→枠にかける
で角真綿がとれるらしい…。
というわけで、
さっそく繭を水につけます。浮いてこないように重しをして、水に1時間ほどつけます。
それだけで水が若干茶色くなっています。
これを、重曹をいれたお湯で煮ます。
割合としては水1リットルに対し重曹4グラムほどだそうです。今回は少ないので一つまみほど。弱火でぐつぐつ煮てゆきます。
小さい鍋なので噴きこぼれそうになり、途中で火を消して余熱で加熱しながら、30分ほど煮ました。
だんだん繭が茶色くなるので、本当に大丈夫だろうかと心配になりつつ煮ます。
煮ると独特の臭いが…。今回は換気扇をフル稼働させ、ドアを全部開けて作業をしました。もしご自宅でやる場合は要注意です。
繭がグズグズになってきたので、ここで火からおろして水洗いします。
水洗いすると、茶色かった繭が白くなりました。
次は木枠に広げてゆきます。
本来は「下馬」という木枠を使うのですが、当館にはない模様。前回使ったものもどこかに行ってしまったので、今回は似たような木枠ということで100均の木の写真立て(B5)を使います。
ぐずぐずの繭を、水の中で広げながら、中の蚕を取り出します。
そうして両手の指でびよーんと伸ばしながら、木枠にかけてゆきます。
4個分かけたら枠から外して、水気をきります。
とりあえず作ってみました。
小さい鍋でやったためか、煮るのにかなりムラが出ていました。繭の原型をとどめているものは均一に広がらず、穴があいてしまいました。
また、中のさなぎを取り出す際も、絹糸が絡まって取り出しにくい事がありました。無理やり引きちぎったりして、その部分だけ繭が極端に伸びてしまったことも。
また、いくつか中で羽化して卵を産んでいたものがあり、伸ばす途中で卵が散らばってしまったので、今回そのような繭は真綿にするのを断念しました。
でも「くずまゆ」でも真綿に生まれ変われるというのは納得です。黄色や茶色になり、工作に使えないような繭でも、煮ることでこんなに白くなるとは驚きです。
今回はまだまだですが、うまく作れるようになったら真綿からの工作も試してみたいと思います。