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2024年のおかいこ(資料館2代目)

中央市豊富郷土資料館です。
今年も蚕の飼育を行いました。先日、無事に採卵まで終了したので、その様子をご報告します。


今年もふ化の試み、だが…。

2023年に資料館で飼育した蚕から、卵をたくさん採ることができました。
そこで今年も、卵からのふ化を試みることにしました。

資料館横の一ノ瀬も、冬の間に手入れして、柔らかい若芽が出そろってきました。

柔らかい葉は小さい蚕たちの良い餌になります。
人工飼料を使う方法もありますが、当館ではふ化から一貫して桑を使っています。

資料館には、昨年アシザワ養蚕さんから来た蚕が産んだ卵(資料館2代目)と、資料館でふ化した蚕が産んだ卵(資料館3代目)の二つがありました。
ただ、蚕は代を重ねるごとに病気に弱くなるので、成功率を上げるために、資料館蚕の卵ではなく、アシザワ養蚕さんの蚕の卵を使うことにしました。

昨年はこんな感じで保管しました。

6月22日、4頭分、およそ500粒をセットしました。

この状態で10日~2週間ほど様子を見ます。

ふ化が確認できたのは7月3日。この日、20頭ほどふ化しました。

卵の周辺にある、細長い黒いモノがふ化したての蚕です。
とっても、とーっても、ちいさいです。

さっそく柔らかい一ノ瀬の若芽を入れます。

たんとお食べ♪

7月4日にも20頭ほどふ化して、合計40頭ほどになりました。

それにしても、2023年の様子と比べてもふ化率が悪い気がします。
去年は卵の数こそ四分の一くらいだったのに80頭ほどふ化していたので…。

その後、7月6日に同量の卵を出してふ化させようとしましたが、こちらは1頭もふ化しませんでした。

色々調べたところ、もしかしたら、しっかり保存しようとチャックつきビニール袋に卵を入れたのが間違いだったかもしれない、と思い至りました。
2023年にふ化させた卵はビニール袋を軽く留めた程度の物でしたが、今年の卵はガッチガチに密閉。空気もほぼ抜いてしまっていたし、今まで一度も開封していなかったので、酸素が足りなかったのか、水分不足だったのか…。
今年はもっと空気が通りやすい方法で保管してみます!

半数ほどが無事に成長

ふ化した40頭の毛蚕たちも、実は半数が1齢になる前に死んでしまいました。
1齢になったのは21頭。以降は数を減らすことなく、順調に大きくなりました。

7月6日時点。まだ1齢です。この頃は葉の端ではなく真ん中の柔らかいところから食べます。
7月13日時点。だいぶシッカリしてきました。

7月20日からはミニ企画展「2023年のおかいこ」の開催に伴い、資料館ホールにお目見え。冷房のためやや涼しい環境でしたが、一生懸命桑を食べていました。

7月20日時点。こんなに大きくなりました。
こちらの蚕は「姫蚕ひめこ」と言い、斑紋部分にのみメラニン色素がない突然変異です。代を重ねると出やすい蚕で、去年に引き続き今年も見ることができました。

4齢で繭になる

繭ができていたのは8月3日です。
脱皮の回数的にまだ4齢だな、と思っていたら、中でも大きめの蚕たちから繭になっていました。

桑の葉の中に隠れるように繭をつくりました。

ちなみに今年はアシザワ養蚕さんからの蚕たちも、4齢で繭をつくりました。
2022年に飼育した時も4齢で繭をつくったので、温度が低いと5齢にならずに繭をつくる事もあるようですね…。

とはいえ例によって成長に個体差が大きい蚕たち。今回は蔟をつかわず、このまま桑の中で繭を作ってもらいました。
全てが繭になったのは8月10日。途中で数頭脱落して、13粒の繭になりました。

桑葉の中に繭ができました。

昨年はここからふ化させて卵をとりましたが、
来年の飼育の都合を考えて、今回はアシザワ養蚕さんの蚕たちからのみ卵を採ることに。

気温が40度に迫る日が続く中、日当たりがよい資料館裏で3日間乾燥させます。
これにより羽化を防ぐことができ、長期間きれいに保管できます。

目玉焼きが焼けそうなほど暑い外で乾燥させます…。
きれいな繭になりました!

繭は「干支の動物工作」ほか、体験活動に活用させていただきます!

アシザワ養蚕さんから来た蚕たちの成長記録はこちら。