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2023年のおかいこ(資料館二代目・下)
中央市豊富郷土資料館です。
資料館でふ化した蚕の成長記録、今回は繭から三代目の卵までをお送りします。
2023年のおかいこ(資料館二代目・上)はこちら。
繭から羽化へ
無事、上蔟
7月25日前後から、資料館蚕の上蔟(じょうぞく、蚕を繭づくりの部屋に移すこと)がはじまりました。
蚕のタイミングで繭を作り始めるので、なかなか勤務時間内に対応しきれないのが悲しいところ。応急措置として、蚕の上に回転蔟(かいてんまぶし)を平らに乗せておいたところ、よじ登って繭を作ってくれました。
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回転蔟の本来の使用方法は下記旧ブログにあります。
資料館蚕の繭は、アシザワ養蚕さんの蚕より一回り小さめ。形も細長いものが多そうです。
蚕NICUを除いた蚕たちの上蔟がおおむね終わりました。繭は36粒で、蔟の中に13粒、桑葉に23粒できていました。ふ化してからおおむね半数の蚕が繭までたどり着いた計算です。
8月5日に蔟の繭と桑葉内の形のいい繭、あわせて24粒を、袋に入れて冷凍処理しました。3日以上冷凍してから天日干しして水分をとばします。
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旧ブログでもこの方法で乾繭処理をしていました。
残り12粒は羽化観察用です。すでに2つの繭から雄の成虫が羽化していました。10粒の繭を切ってみたところ、半数は中でさなぎになり切れず死んでいました。
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中の蚕はさなぎになりきれず死んでいます。
さなぎになっていた5粒(雌2、雄3)の観察を続けます。
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羽化
8月6日、雄が1頭、雌が1頭羽化していました。
交尾が確認できたので、朝、雌を産卵用の枠に移動しました。
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卵の確保
去年の蚕飼育時は、久しぶりだった事もあり、交尾・産卵は自然に任せていました。繭から出てきてしまった蚕も含め、去年は雄が20頭、雌が4頭羽化しました。蚕の交尾はただでさえ半日ほど続くのに、放っておいたら産卵中の雌を襲う雄もいて、結局ごくわずかな卵しか得ることができませんでした。
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そこで今年は、雌におちついて産卵してもらえるよう、専用スペースを設けました。
交尾も、1~2時間でじゅうぶん受精卵ができるので、必要以上に放置せず、時間が来たら雄を分けることにしました。
そして資料館三代目へ
今年の蚕が残してくれた卵です。
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最終的に雌が2頭羽化して卵を産んだものの、1頭はタイミングがあわず飼育箱の隅に産んでしまいました。そのため、紙の上に産んだ卵のみの保管です。
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こちらを冷蔵庫で保管します。
来年、桑の葉に新芽が出そろった頃、取り出してふ化させる予定です。
その様子もこちらで報告したいと思います!
ちなみに、今年はアシザワ養蚕さんからいただいた蚕も飼育しました。その様子は下記記事にまとめてあります。あわせてどうぞ。